PR

タクシーと名の付く書籍を読んでみた

この記事は約20分で読めます。
記事内に広告が含まれています。

タクシー稼業 ちょっとそんな書籍を読んでみた

タクシー運転手になって人生大逆転!〜下田 大気〜

Amazonサイトへ→タクシー運転手になって人生大逆転! 

書名
書名
タクシー運転手になって人生大逆転! 
著者名下田 大気/シモダ,ヒロキ
出版社東京 KADOKAWA
出版年月2014.9
ページ数175p
概要直木賞作家の父を持ち、高校時代に華々しく芸能界デビューするも尻すぼみ。
10代で起業するも、カジノ、風俗、酒に溺れて24歳で自己破産。
再度の芸能界挑戦ではだまされて、官能映画「美姉妹色情飼育」に不本意ながら主演してしまう。
再起を期して事業を立ち上げるもまたもや失敗し、さらにはFX投資にも失敗し、32歳で2度目の破産…。
が、タクシー運転手になった途端、生き地獄から脱出! 
一年目で年収800万円、いまや年収2000万! 
金なくツテなく取り柄もない、そんなオジサンでもなんとかなる! 
タクシー運転手に学んだ「人生大逆転」の自己管理術を伝授する。

ブックレビュー

冒頭は、著者の小中学時代のヤンチャぶりの話、高校から渋谷・六本木でチーマーたちとパー券を売る話。親の七光りを存分に受けて、好き放題の青春を過ごした話が続く。一見、親の脛齧りのくだらない話かと思いきや、読めば読むほど、著者の破天荒さが笑えてきます。おそらくそれも著者の人柄が、作品に現れているのではないかな?と思う内容です。高校を卒業して、また、親の七光りで、芸能界・事業立ち上げ、結局、全部失敗し最後にはFXですっからかん!人生の転機は、お世話になっていたとある芸能事務所の社長さん(元)

聞けば、リーマンショックの煽りで会社をたたみ、タクシー運転手になっていたとのこと。そこで著者もタクシー運転手をやってみよう。と思ったそうです。デビューの売り上げは社内2位。となんとも天性の素質か!?と思わせる内容であるが、序章の著者の破天荒な人間性が成せる技か?と、私は思いました。というのも、このタクシー稼業。運転のウマ下手、接客の良し悪しは二の次で、(もちろん大事ですが)度胸と根性と忍耐力がモノをいう世界だということは、経験者ならばわかるはず。もちろんスマートにこなしている乗務員もいるとは思うのですが、ずば抜けて、上位売上に食い込むには、どこかしら、精神的に鈍感で突破力のある人でなければなれないと私は感じていましたので、まさに著者はこの素質はあるんだろうな。と序章を読んで思いました。

また、文中「いちいちイライラしていたら、次の接客に悪影響をもたらすから、嫌な客に会ったら

「僕でよければいつでもストレス解消の捌け口にしてください」

と考え、割り切れるくらいに思えるようになった。だと!!もう神領域ですね。

歌舞伎町・六本木・恵比寿・銀座、とそれぞれ違う夜の顔を持つ街で様々なお客様に出会い、それぞれの人間模様を学んだとのことです。全ての出会いを学びに変える著者のスピリッツに脱帽です。

そして中盤、第四章からが非常に読み応えがあります。

ダメ人間だった著者が自己管理を含め、貯金を始め、無駄な”人”、”時間”、”金”との断捨離、そして

「許すという心がないと何も始まらない」

他人への怒りや恨み、自分に対する嫌悪や後悔を「許す」のだそうです。

もう、神の領域を超えてますね。

一番共感できたのは、文中

仕事絡みの人間関係を絶て! “WIN – WIN”なんて無理!

という見出しが本当に面白い。

わかる気がするー。せっかくタクシードライバーになって自分スタイルでできる仕事なのに、納金後も会社の同僚や先輩にいじられていつまでも無駄話している人。たくさんいますよね。結局孤独が怖いんです。それに気がついて、一人でも怖くない心を持たないと。傷の舐め合い、万収とっただの、3桁連発で。。。なんて言ってないでとっとと帰って自分の時間を有意義に過ごそう。なんて話が続く。

最終章においてはタクシーの時間管理術・お金管理術が、結構細かく書かれています。真似たからと言って誰でもできるわけでもなく、また、スタイルは人それぞれなので何が正しいかは、未知の世界ですが、これからタクシーを始める人や、売り上げが低迷していて、悩んでいる人には是非参考になると思いました。

昨今、大学卒業、新卒でタクシー運転手という道筋が一般的になっていますが、やはりタクシー稼業は、人生経験を学んだ、酸いも甘いもいろいろ経験した人が、再起をかけて挑む世界であるのではないか?と思うところがあります。(新卒が悪いとは言いませんが。。。)

本書は、タクシー運転手というきっかけで人生大逆転というタイトルになっていますが、内容8割は、人生のHowTo本。下手な、哲学書や自己啓発本を読むよりこの一冊を読んで何か感じるところがあれば、もう儲け物。

もちろんタクシードライバーに対してネガティブなイメージを持っている人が読むと、悪いイメージしかつかないかもしれませんが、タクシー稼業の皆様なら是非とも一度は手に取って読んでみても損はない良書だと私は思いました。

タクシー運転手になって人生大逆転! 

タクシー王子、東京を往く。  -日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」〜川鍋 一朗〜

Amazonサイトへ→タクシー王子、東京を往く。 -日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」 

書名タクシー王子、東京を往く。  -日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」 
著者名川鍋 一朗/カワナベ,イチロウ 
出版社文藝春秋
出版年月2008.5
ページ数231p 
概要タクシー業界最大手・日本交通の若社長がドライバー体験を志願。激動する現場を、経営者自らの新人体験を通して描いた異色の日誌

ブックレビュー

まず、そもそも序文の書き方が不思議で仕方なかったが、我慢して読んでみた。
(一応読書好きの端くれなので完読する)

最初の項は

社長がなぜ、タクシードライバーをやってみたのか?

という説明があり、桜にN社の社長さんが経験した内容を、羅列した日記となっている。道がわからない時の、ドキドキ。奇跡の万収話、チップの最高額や珍客のこぼれ話。そして理不尽なお客とのやり取りがダラダラと続く。

気になる項があったのでしっかりと読んでみた

イチロー流タクシー術

これは期待できるであろう。タクシー業界の王子のメソッドだ。期待大!内容は!!

タクシーの基本=マジメに、怠けず、しっかり休憩取りながら。

まあね。仕事においてタクシーでなくても知ってるよ。という見出し。そもそもタクシー会社に入社すれば、だいたいどこの会社でも学びます。。。。と思いつつ、読み続けます。

再び、”イチロー流タクシー術 特別編”の項が登場!もう一度期待し、読み進める。見出しは

東京都内の抜道を皆様にもおすそわけ!

淡い期待は妄想に終わった。もちろん、東京の道を全く知らない人にとっては目から鱗な道の説明なのですが、東京タクドラとして3ヶ月も乗務すれば、おそらくほとんどの人が、知り得るであろうルートが書いてあります。新人にはありがたいですね。

さて、気を取り直して読み進めます。書籍の中盤あたりから、ところどころ、マッキンゼー時代の話や同僚の再会の話が続きます。

も客層や場所、シチュエーションが微妙に変わっただけで、内容はほとんど変わりません。

1日の乗務の流れの説明。理不尽な客にどう対応したのか?乗務中のトイレはどうしたか?2万収を獲得してメーターを記念撮影した!などなど続きます。

走って走って走り抜く!限界への挑戦

文中「流石に社長は引きが強い」と社員から噂になっているとのこと。運転がそれほど好きではないという著者が、「社長は引きが強い」という言葉に触発され、だんだんと、タクシーにのめり込んでいく様が、描かれている。

何か重要な、とてもタクシードライバーにとって貴重な体験談があるのか?と想像をしながら読み進めるが、結局走り続けた、お客様に怒られた。道を間違えた、8万を突破した。という内容がダラダラと続く。

最後は眠眠打破を飲み、リポビタンDを飲み、ランナーズ・ハイならぬタクシー・ハイを体感し、ついに9万超えたぜ!という結果が書かれていた。

タクシー・ハイ?? そんな状態をこう呼ぶんだ。と改めて学んだ。いやいや、お勧めできない状態であることは間違いないが、9万を超え、かつ、無事故で何よりであると思った。

一貫して、序盤から、タクシー王子のタクシー乗務の日記が、終盤まで延々と書き続けられている、まさにタイトル通りの書籍でありました。

あとがきに、本文中の要約内容が書かれているので、お忙しい人はあとがきを読めばだいたい、書いてある内容が理解できます。(あとがきというより、まとめです)

これからタクシードライバーになる人や新人さんにはぜひおすすめの一冊である。

2024.1,25:ロバートジョニーロ

タクシー王子、東京を往く。 -日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」 

タクシードライバー日誌 

タクシードライバー日誌 (ちくま文庫) 

書名タクシードライバー 日誌 
著者名梁 石日/ヤン,ソギル  
出版社筑摩書房
出版年月1986.10
ページ数216p
概要タクシー業務ほど苛酷な仕事も少ないだろう。長時間労働、精神的疲労、事故、そして低賃金。この世界を、客の生態、仲間の暮しぶりを通して描く出色のドキュメント―。座席で痴態をくりひろげる客、傲慢な男、突然おそう大事故。この世の縮図を乗せて走った東京50万キロ。

ブックレビュー

この本は1986年に書かれている。つまりバブル崩壊より前、オイルショック後あたりからの業界を知ることができる本である。著者の別の本では、1997年、1998年と続編風な本を出していることから、バブル期〜バブル崩壊〜その後までタクシー家業を続けていたのだろう。著者は、3作読むとわかりますが(シリーズは確か全部で4冊)ちょっとタクシードライバーに対して、ヒエラルキーの底辺にあるという意識が非常に強い人だなと思います。まあ実際そうなんでしょうから仕方がない。(私はヒエラルキーとかなんか気にしないで楽しくやっているだけなので関係ないですが)

本書は、客が少ないバブル以前までの、がんばれがんばれ!努力しろ!時代を非常にわかりやすく、乗ってくるお客様の職業を織り交ぜてタクシードライバー目線で描かれています。


GPSなどもちろん無く、ましてや携帯電話も無い(あったとしても自動車にくっついている受話器のでかいやつ)

連絡手段は公衆電話とタクシーの無線のみ。紙の地図でお客様の行き先を一緒に確認しつつ、時にはお客様が地図を持ってナビをする。ある意味悠長な、そして3丁目の夕日のような時代を感じさせる。が、内容的には、官僚からの上から目線の説教やら、んーー、まあ今と変わんないかなあ。
もちろん、作品は、著者はタクシードライバーを引退した後に書き上げた物なので、書いてある内容が著者の実体験なのか、同僚または他のドライバーの見聞きした内容を、主人公に当てはめて描いているのかは、知る由もない。

とはいえ、1980年代のタクシー事情を知る上では、貴重な歴史書と言っても過言ではない良書であると思います。

 タクシードライバー日誌 (ちくま文庫) 

タクシードライバー 一匹狼の歌

タクシードライバー―一匹狼の歌

書名タクシードライバー   一匹狼の歌- 
著者名梁 石日/ヤン,ソギル  
出版社幻冬舎
出版年月1997.10
ページ数241p
概要伝説のベストセラー『タクシードライバー日誌』、映画「月はどっちに出ている」の原作として名高い『タクシー狂躁曲』に続く待望のシリーズ最新作、アウトロー文庫化!乗り逃げ、喧嘩は当たり前、時には殺人や時価二億円の忘れ物にまで遭遇する職業の恐るべき実態を、元タクシードライバーの直木賞候補作家が哀歓を込めて綴る傑作ルポ。

ブックレビュー

本書は、元タクシードライバーの著者、梁石日氏が、主人公の視点から描いたタクシードライバーの物語です。(ルポともあるので、どこまでが本人で、あるいは同僚や他の乗務員の話を織り交ぜているのかもしれません)

発売が1997年なので、バブル期〜バブル崩壊に向けての内容が描かれています。前述の同著者の

タクシードライバー 日誌

のその後と見れば良いだろうか。この時代は私は中学〜高校生時代で、タクシーという乗り物には全くもって縁のない、片田舎のハナタレ小僧でした。

そういう意味では、当時のタクシー事情を知るには非常に貴重なタクシー業界の歴史書といれるのでは無いでしょうか。

ただ、書いてある内容が非常に過酷な労働環境を描いていることから、もし今の時代の人が、この本を読み、まんま鵜呑みにしたら絶対に、タクシードライバーになんかなりたくない!と思わせる内容です。この本を批判しているのではなく、それほど、見事にリアルに描かれているのではないか?と思わせる本です。とはいえ、先にも述べた通り、私は当時のタクシー業界の事情を知るすべはありません。あくまでも想像と、この本による知識のみです。

今でこそ、喧嘩・乗り逃げ、当たり前!なんて時代ではありませんので、新しく入ってくる人は安心してタクシー業界にお越しください。あ、ちなみに私は乗り逃げされたことがありますよ。どうぞ参考まで。

現代の私のような、昔を知らないタクシードライバーには是非とも本書含め同著者のシリーズ本を読んでいただければ、また面白いタクシー稼業になるかと思います。

タクシードライバー―一匹狼の歌

タクシードライバー  -最後の叛逆-〜梁 石日〜

Amazonサイトへ→タクシードライバー  -最後の叛逆-

書名タクシードライバー  -最後の叛逆- 
著者名梁 石日/ヤン,ソギル  
出版社幻冬舎
出版年月1998.12
ページ数236p
概要路上駐車、スピード違反、飲酒運転……人はなぜルールを破るのか? ルールは常に正しいのか? 警察の不当な取締りには、黙って従うしか術はないのか? タクシードライバーとして数々の修羅場をくぐり抜けてきた人気作家が、絶体絶命の危機を回避するための「掟破りの裏技」を密かに伝授し、歪んだ車社会に警鐘を鳴らす、前代未聞の問題ルポ!

ブックレビュー

  • タクシードライバー 日誌
  • タクシードライバー   一匹狼の歌- 

と、著者自身のタクシードライバーの経験を綴る三部作目。前作まではどちらかというと、タクシードライバーという稼業の熾烈さや過酷さを書き綴られているが、今作はほぼ、警察の取り締まりに向けた怒りとも取れる思いを徹底的に表現しており、現役タクシードライバーにとって共感できる内容が随所に現れている。

駐車取り締まりに始まり、スピード違反、飲酒運転と取り締まり方法に対する理不尽さ、せっかく万収を手に入れても帰り道にネズミ取りにかかった!せっかくの水揚げを全て警察が吸い上げて行く!と嘆く。飲酒運転に至っては、少しくらい飲んでも。酒はストレス解消の良薬!と言い放つところは現代においてはちょっと時代錯誤かな。と思う箇所もチラホラ。

でも言いたいことはすごくわかる。さすが作家の本は、グイグイと読み進められる構成であった。もちろん自身がタクシードライバーであるということから、自分に置き換えて読み進めることもできるので非常に楽しい作品。(ルポとあるのでところどころ取材した内容なのかもしれませんが)

後半は、保険会社との交渉方法、取り締まり重点ポイントの予測の仕方、駐車違反の逃れ方(現代においてはほぼ不可能)、スピード違反箇所の重点ポイント等を免停経験者ならではの視点で、非常にわかりやすく書き込まれています。最後には飲酒した後の匂いの消し方や、臭っても検査から免れる方法なども説明されているが、これは共感できない。さすがに今の時代では、酒を飲んで運転する。という今では考えられない発想を、当時は平気でやりこなしているところが驚きです。

初版発売が1998年であることから、著者のタクシー経験はそれよりも以前、バブル崩壊以降の間の話のようです。(六本木で万札が飛び交った。という話は一切出てこないのでおそらくそうであろう)

タクシーをこれから始めようとしている人や、始めたばかりの人はもちろん、10年選手のドライバーさんにも面白いと思える構成で書かれているので、タクシードライバーには是非読んでもらいたい一冊であると思いました。ただし、交通違反の免れ方は現代では決して通用しないので真似はしないこと。

へー!そんな時代だったんだー!

とか

おー!これは今の時代にも役に立つぞ!真似してみよう!

という感じがお気軽かもしれませんね。

タクシードライバー  -最後の叛逆-

タクシー〜森村 誠一〜

Amazonサイトへ→タクシー〜森村 誠一

書名タクシー 
著者名森村 誠一/モリムラ,セイイチ  
出版社角川書店
出版年月2002.11 
ページ数264p 
概要“死体”という客を乗せたタクシードライバーが体験する戦慄のサスペンス!

タクシードライバーの蛭間はある夜、一人の女性を乗せた。だが、彼女は「佐賀県まで連れて行って」という言葉を残して息を引き取る。死体を乗せたまま佐賀に向かった蛭間を待つ、未曾有の困難とは――。

ブックレビュー

本作の発表は1980年。私はまだ小学生。ファミコンが1983年に発売されています。まあそんな時代です。

主人公、蛭間(タクシードライバー)の内面の葛藤や人間関係を描いたフィクション小説です。他の著書のようにルポや、経験談などとは違う、ちょっとファンタジーに浸りながら読んでいただければ。と。

著者は、推理物、刑事物、サスペンスと定評のある森村 誠一氏。サスペンス好きなタクシードライバーには絶対呼んでもらいたい一冊です。

この作品は、タクシーを通じて現代社会(1980年よりちょっと前の時代かな?)の問題を浮き彫りにしています。タクシードライバーとして働く主人公は、さまざまなお客さんと接する中で、社会の闇や人々の孤独さに直面することになります。彼の心の中で起きる葛藤や軋轢、そして深い孤独感が、読み手に強烈な印象を与えます。

また、舞台がタクシーという狭い空間に限定されているため、物語はリアルで密度の濃い描写がなされています。読者は主人公の目となり、タクシーのなかでさまざまな人々とふれあう様子を通じて、彼らの人生や喜怒哀楽を垣間見ることができます。とりわけ、現役タクシードライバーには、とてもリアルに感じる場面も多く描かれています。

主人公とともにタクシーに乗り込んで、彼の目線から社会の闇を垣間見ることができるでしょう。

おっと、これって1980年前の話。なんだか今も昔もタクシー稼業ってあんま変わんないのかなあ?配車方法と決済方法が変わっているだけで(笑)なんて思えるシーンも多々あります。

全体として、本書は深い人間ドラマを描いた作品だな。と思いますので、タクシードライバーのみならず、人間関係にちょっと迷っている人に呼んでいただければ、社会の問題や人間の葛藤に向き合う勇気を与えてくれるのではないかな?と思える作品だと思います。

前述で紹介した

タクシー運転手になって人生大逆転!〜下田 大気〜

タクシー〜森村 誠一

東京タクシードライバー〜山田 清機〜

Amazonサイトへ→東京タクシードライバー

書名東京タクシードライバー
著者名山田 清機/ヤマダ,セイキ   
出版社朝日新聞出版
出版年月2014.2
ページ数284p 
概要「旦那、来年はいい年にしましょうよ。
がんばってさ、来年こそいい年にしましょうよ。」

13日の運転手を見つめた、大人がしみじみ泣ける実話。

事実は小説よりせつなくて、少しだけあたたかい。
読むと、なぜだか勇気が湧いてくる! 

「もうかれこれ二〇年以上になるが、新卒で就職した会社を一年半で辞めてからというもの、一貫して金がない。」
(数々の著名人が激賞する「長いあとがき」冒頭の一文)

第13回新潮ドキュメント賞候補作。
朝日新聞、読売新聞、東京新聞、産経新聞、神奈川新聞、日刊ゲンダイ、
週刊SPA!、週刊朝日、散歩の達人、宝島、TBSラジオ、他、絶賛の嵐。

編集部が自信を持って、営業部が本気で、
今こそ、読んでほしい本。

ブックレビュー

本書はノンフィクション作家”山田清機氏”によって書かれた小説です。が、ここはノンフィクション作家、東京で働くタクシードライバー、一人一人に取材し、見聞きした内容を、小説的に描いているところがまたリアルに感じる良書でした。一人一人、それぞれの章で分けられているのでタクシードライバー個人の短編小説がぎっしりと詰まった(10章)内容です。

ある人の章では、都会の喧騒と孤独を、ある人の章では人々との出会いを描きながら、タクシードライバーの内なる葛藤や人間模様を上手に描き出しています。各章の主人公はタクシードライバーとしての仕事を通じて、さまざまな人間と触れ合い、それぞれの物語や生きる意味を知ることになります。

本文中、日交・国際自動車・三信交通・日立自動車交通と当時の実名も出てきて、今読んでも非常にリアルに感じる内容です。

特に私が印象に残っているのは

「第6章 泪橋」

俳優で劇団に所属している主人公は、劇団だけでは生活できないのでタクシードライバーで生活を支えている。しかし座長からは、アルバイトはするなよ!と言われている。理由は、副業禁止とかコンプライアンスではなく、

「別の仕事をするとその仕事の顔になっちまう。トラックの運転手はトラック運転手の顔つき、タクシーの運転手はタクシー運転手の顔つきになる。それは俳優業には邪魔だ」

ということらしい。私はこの下を読んだ時、

「俺、自宅でオフの時間もタクシードライバーの顔しているのかな?」

なんて考えてしまう。ふと思い返すと、自宅でふと掛け時計を見る時など、首を動かさず目線だけ動かして、時間を確認している。これは生まれ持った癖なのか、あるいは信号待ちでハンドルを握りながら、周囲を瞬時に見渡す癖がついているのかな?となんだかわからなくなってしまった。そんなことを思わせる章でありました。

このように、様々な事象を著者・山田清機氏は非常に繊細で描き、東京の街並みや人々の心の機微を丁寧に描いているので、タクシードライバーとして本書を読むと、とてもリアリティな描写が脳裏に浮かんできます。

10章。つまり10人のタクシードライバーのルポによる小説なのできっと、どれかは共感できる登場人物が現れるのではないでしょうか。是非とも読んでいただきたい、タクシードライバーにとってとても面白い良書です。

また、最後の

「長いあとがき」

このサブタイトル自体がちょっと”クスッ”とくるのですが、内容としては笑えない、ちょっと胸に突き刺さる、著者の自身のことなのか?あるいは、登場した10人のドライバーに思う何かなのか?おそらく読み手のそれぞれの心境・立場などで捉え方が変わるのではないでしょうか。

東京タクシードライバー

東京タクシー運転手-潜入ルポ-〜矢貫 隆〜

Amazonサイトへ→東京タクシー運転手

書名東京タクシー運転手  -潜入ルポ-
著者名矢貫 隆/ヤヌキ,タカシ    
出版社文藝春秋
出版年月2014.12
ページ数248p 
概要走れども稼げない、「陸上の蟹工船」

理不尽な客の要求、激減する水揚げ、増える事故。潜入ルポから見えてきたのは、「身近な足」のはずのタクシー業界が抱える闇だった!

ブックレビュー

本書は、2014年に書かれた物で

「改正タクシー特措法の施行」

ちょうどそんな時代に書かれたタクシードライバーのルポ作品です。つまり、前述のルポ本と比べ、比較的新しい(とは言っても、すでに10年以上経過しているが)より我々今のタクシードライバーに近しい時代の書籍です。

また、他のルポと違う点として、単にタクシードライバーに同情したり、ありのままを描いたり(それも著者主観な書き方)ではなく、かなりドライバーに寄り添った(味方した)書き方であるので、我々タクシードライバーにとってとても励みになります。(著者は2年間、取材のため、実際にタクシードライバーとなって都内を走っていた)

例えば、サブタイトルからしてそれが伝わってきます。

  • 客の「つッ!」に萎縮する
  • 「道を知らない」には訳がある
  • こんなに多い「運転手負担金」

いわゆる、あるある話を非常に面白く、おかしく書いているので、没頭して読み込んでしまいます。

第4章:接客マナーはなぜ改善しないのか?

この章は読めば読むほど、つくづく納得。無論私も聖人君子ではないので時にはチコっと悪態つくし、コンビニの駐車場で20分以上滞在しちゃう時なんかも時々あります。が、書いてある内容はそれ以上の。いわゆる路上喫煙などなど。うん、そうそう、路上喫煙もうダメ!って決められているのに堂々と吸っているドライバー多いよね。喫煙どころか立ち小便ドライバーもほんと多いですよね。生理現象だから仕方ない?自分だけならばいいだろう?

ちょっとこの書評を書いていて別記事で書いた内容を思い出す。

【自分さえ良ければいい】という人 増えたかな?
(よろしければ是非お読みください)

そのちょっとの些細な行動、みんな見ているんですよね。

「だからタクシードライバーは!」

って一括りに言われてしまう。

そんな嘆きを、簡潔に見事に描く本作は読み応えがあります。特にこれからタクシードライバーになろうとしている方には、ちょっとした心構えや、意識づけにちょうど良い本なのではないかと思います。

そして最後 あとがきが最高ですね。

おわりに〜「東京のタクシーはすごい」と言わせてもらいたい

10年前の著書であるものの、今抱えている問題からなんら進展もなく、なんら変わらない業界であることがこの著書で理解できます。タクシー不足・タクシー接客マナー、全て今に始まったことではなく、昔からなんら改善してこなかった、会社側・雇い側の怠慢、つまり

自分さえ良ければ(会社の儲けさえ良ければ)乗務員なんてただの捨て駒

の思考がある限り、乗務員の態度も変わらないでしょう。(もちろん立派な会社もあります!)

卵が先か鶏が先か!

そんな、現在のタクシー業界の問題にも十分通用する良書でした

東京タクシー運転手

コメント

タイトルとURLをコピーしました